ニッケルは腐食しにくく、融点が高く、硬さも適当である、というさまざまな利点をもっています。よってニッケルメッキは、耐食性、耐熱性、装飾性に優れており、各種の下地メッキとして、装飾的な用途にも、電子部品などの機能的な用途にも多く用いられている主要なメッキのひとつとなっています。
ニッケルメッキ浴にはさまざまな種類がありますが、その中でもっとも多く用いられているのがワット浴です。その構成成分は金属イオンを供給する硫酸ニッケル、陽極溶解の促進や液の導電性を向上させるための塩化ニッケル、ホウ酸で弱酸性の性質をもつメッキ液というようになります。ホウ酸はニッケルイオンと弱い錯体を形成し、その錯体からニッケルの電析を行うことになります。添加剤の種類によって無光沢、半光沢、光沢浴がありますが、各成分の濃度が濃すぎると液の粘性が高くなって皮膜に欠陥が生じやすく、薄すぎるとメッキがよくくっつくにくくなるという特徴があります。